当院の矯正治療に対する考え方
- このページを読んでいる保護者の方は少なからずお子様の歯並びや咬合わせが気になっている事とお察しします。やや長文となりますが、子供の矯正をお考えの親御様にはご理解頂きたい内容ですので、是非ご一読下さい。
最近よくお見受けするトレーナーシステムやMRCシステム、マルチファミリーなどの既製アプライアンス(マウスピース)を用いた予防矯正には一定の効果があり、上下顎の関係と鼻呼吸や正しい舌位の保持などは間違いなく重要なポイントではありますがそれだけで全てのケースが治るのでしょうか?
稀にブラケットなどの固定式矯正装置を使わずにマウスピースタイプの筋機能療法のみで不正咬合の治療が完了できる場合もありますが、やはりそれだけでは歯の細かなコントロールを行う事は難しいケースが多いと感じます。もし一つの手法で全てのケースが治るのであれば日本中、世界中でもっと認知されスタンダードな治療法として確立しているはずです。
大切なのは「どのシステムを選択するのか?」「どの装置を使うのか?」ではなく現状をきちんと把握した上で従来の方法の良い点も活かしつつ最新の治療法も組み合わせて効果的に治療していく事であると考えます。矯正期間は長く、お子様・保護者様ともに最初のテンションを保つことは思いの他難しく理屈だけでは上手くいかないことも多々あります。
クリニックやDr.との相性、めげそうになった時に優しくサポートしてあげられる保護者様の協力態勢なくしては「継続する」ことすら出来ない訳ですから小児予防矯正では「何が出来て何が出来ないのか」などをよく知った上で治療をお受け下さい。
院長である私も、これを読んでいるお父様、お母様と同じ様に4人の子供の育児中です。環境は違えど少しは不安な気持ちを取り除くお手伝いが出来るかと思いますので現在お子様の矯正治療でお悩みの事がありましたら御相談ください。
色々考えて「今は矯正しない」という結果であっても良いと思いますし、本人のやる気や転居の可能性など現実的には様々なハードルが発生するのが自然だと思います。少なくともよくわからないまま見切り発車して後から「こんなはずじゃなかった」となる事は避けたいですね。
おだ歯科クリニックでは治療中の虫歯予防管理、必要に応じた抜歯なども含めて総合的なサポートを行っています。矯正治療の期間はお子様の人生の中では振り返ればわずかな期間ですが、それで終わりではありません。
長期的な視点で成長を見守りながら虫歯予防や成長のコントロールを行い、適切な時期に適切な対応を行っていくことで「いかに最小限の治療介入で済ませられるか」を我々も保護者の方も第一に考えて治療を行っていきたいと考えています。
現在では良くも悪くも様々な情報が得られるため、混乱を来たして「何が正しいのか?」「我が子には何がベストなのか?」を決めにくくなっている様に思います。早くて安くて簡単に治ればそれに越した事はありませんがなかなか上手い方法はありません。
お口の健康管理を「今だけ良ければOK」と考えずに長い目で見てお子様の成長や保護者様の御希望や考え方を総合的に擦り合わせてからの治療開始とさせて頂きますので上記方針を御理解の上で受診して頂きますようお願い申し上げます。
また、スタッフ一同全力でお子様をサポートしていく事をお約束致します。
歯並びが悪いことで引きおこる様々な問題とは
歯並びが悪いという事は、単に見た目が悪いという事にとどまらず、様々な問題を引き起こします。
磨き困難で清掃性が悪い事により虫歯、歯槽膿漏、口臭の原因となる。
咬合の不調和により顎関節症のリスクが高まる。顎関節症とは初期にあごの関節付近で開口時にコキッとか音がし、その後悪化すると肩こり、偏頭痛、耳鳴りの原因となったり、時には口が開かなくなる事もある。
歯に対しての負担が大きい咬み合せにより、歯を支える骨が溶ける『歯周炎』の原因となる。
※いわゆる歯周病・歯槽膿漏。
掛かりつけ歯科医を持つメリット
お子様の歯列矯正を考えるとき、矯正専門の歯科にするか、当院のような総合歯科にするかを迷われる方がいらっしゃいます。
どちらもメリット・デメリットがありますが、小児歯科として受診・掛かりつけの歯科医に矯正治療を相談する場合には大きなメリットがあります。
小さな頃からの口腔内を
医師と共に共有できる
定期検診や普段の治療からお子様の
歯の成長やおしゃぶりの癖などを
把握できるので矯正治療のタイミングや
顎の成長に合わせた対策ができる。
矯正治療だけではない
他の選択肢も
小児の歯並びを改善する為に開発された
ポリウレタンを使用した既成の
上下一体型の矯正装置です。
生え方に合わせたタイプを選べます。
口腔筋機能療法
(MFT)
口腔筋機能療法(MFT)とは、
後天的な筋肉の不調和を舌や口唇、
頬などの口腔顔面筋のトレーニングを行い
改善していく治療です。
歯列矯正
Ⅰ期治療・Ⅱ期治療
掛かりつけ歯科医を持つことで
むし歯などの治療を行いながら
歯列矯正の開始を歯科医師と
連携を取りながらスタートできます。
小児矯正
おだ歯科クリニックでは、小児矯正・お子さまの歯列矯正についての個別相談を随時承っております。
- 子供の歯並びがどの程度悪いのかを知りたい
- 自分の歯並びに似てくるか心配だ
- どんな矯正治療があるのかを知りたい
- うちの子は何歳頃から矯正を始めたら良いか知りたい
- 指しゃぶりが治らない
- いつもポカンと口が空いている
- 鼻呼吸が出来ていないようだ
当院では矯正治療だけではなく、お口の悪癖の修正やトレーニングも行っております。
矯正治療をお考えの前にも個別歯科相談を受けてみることをお勧めします。
お子さまの矯正時期の流れ
子供の矯正治療は、大きく分けて2つに分かれています。
乳歯列期を終え、5~6歳頃から12歳頃の混合歯列期の矯正治療のことを「Ⅰ期治療」といい、比較的簡単な装置で生え方や永久歯が正しく生えてくる状態を作ることに重きを置きます。
永久歯が生え揃ってからの矯正治療を「Ⅱ期治療」と言い、マルチブラケット装置(ワイヤーによる矯正装置)などで歯並びや咬み合わせを矯正します。
大人の矯正は永久歯列が整ったⅡ期治療のみになります。
Ⅰ期治療について
お子様のⅠ期治療には多くのメリットがあります。歯列矯正には上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)など骨格的な問題を抱えている場合がよくあります。
Ⅰ期治療から始める場合、お子様のあごの成長を利用してバランスや生え方を整えることが出来ます。
これにより、Ⅱ期治療で歯を抜く可能性を低くできる場合があり、外科的な矯正のリスクが少なくなるなどのメリットがあります。
歯列矯正の年齢別患者割合
1歳頃から19歳までに歯列矯正を行っている人数は図の通りで、Ⅰ期治療とⅡ期治療と共に矯正を行う上で参考になるのではないでしょうか。
小児歯科学会が発表しているデータではおおよそ9~12歳頃に永久歯の歯並びが完成すると言われていますので、Ⅰ期治療の必要性に関しては早い段階で1度は矯正歯科にて歯列矯正の必要性についてご相談頂くことを勧めます。
平成29年患者調査上巻(全国)※ 千人
歯列矯正 | 総数 | 1~4歳 | 5~9歳 | 10~14歳 | 15~19歳 |
---|---|---|---|---|---|
総数 | 11.1 | 0.1 | 3.7 | 4.7 | 2.5 |
男 | 4.7 | 0.1 | 1.4 | 2.3 | 0.9 |
女 | 6.3 | – | 2.3 | 2.4 | 1.6 |
(※1)患者調査は全国無作為かつ、特定の日程の調査であるため、正確な患者数を表すものではないが患者年齢層割合の参考とする。
永久歯はいつ頃から生えてくるのか?
男児 | 女児 | ||||
平均 年月 |
標準偏差 年月 |
平均 年月 |
標準偏差 年月 |
||
上顎 | 1 | 7.03 | 0.08 | 7.00 | 0.07 |
2 | 8.05 | 0.08 | 8.00 | 0.08 | |
3 | 10.10 | 1.01 | 10.02 | 0.11 | |
4 | 10.00 | 1.01 | 9.04 | 1.00 | |
5 | 11.01 | 1.04 | 10.07 | 1.03 | |
6 | 6.08 | 0.08 | 6.07 | 0.08 | |
7 | 13.03 | 1.00 | 12.09 | 1.04 | |
8 | 17.04 | 0.09 | 17.08 | 0.06 | |
下顎 | 1 | 6.03 | 0.07 | 6.01 | 0.06 |
2 | 7.03 | 0.08 | 7.00 | 0.09 | |
3 | 10.02 | 0.11 | 9.03 | 0.09 | |
4 | 10.02 | 1.01 | 9.07 | 0.11 | |
5 | 11.04 | 1.03 | 10.09 | 1.04 | |
6 | 6.05 | 0.08 | 6.02 | 0.07 | |
7 | 12.05 | 1.02 | 11.08 | 1.01 | |
8 | 17.03 | 0.10 | 17.05 | 0.09 |
(12進法、歳、か月)
上の図は、1988年に日本小児歯科学会が乳歯が永久歯に何歳頃に生え変わるかという平均的な年月(歳・ヶ月)を発表したデータになります。
一般的に6歳前後になると最初の永久歯が生えてきます。以前は、下の第1大臼歯が初めに生えてくることが多かったのですが、最近では下の乳中切歯のほうが永久歯に生え変わることが多いようです。(下の図a)
永久中切歯が生えてから6ヶ月から12ヶ月ほど過ぎると側切歯や上の中切歯が生え変わり、さらに上の歯が生え変わってきます。
9歳から12歳にかけて乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯が順番に生え変わり、1番後ろの第2大臼歯が生えて永久歯が完成します。
さらに20歳頃になると第3大臼歯である親知らずが生えてくる方もいます。
口腔筋機能療法(MFT)
口腔筋機能療法(MFT)とは、歯並びに関連する舌や唇や頬などの口腔周囲筋をトレーニングすることで正常な環境に変える機能療法です。
お口は歯だけではなく、唇や頬があり、人によっては癖があります。MFTではこれらの癖を正しくするために、
・発音、呼吸
・咀嚼、嚥下(咬んで飲み込むこと)
・唇、舌の正しい位置
などのトレーニングをします。これらを修正することによって正しい鼻呼吸や滑舌、いびきの予防・防止や歯周病になるリスクから、歯の正しく生える口腔環境を整えることが出来ます。
小さい子供のMFTいつから?
口腔筋機能療法「MFT」(Oral Myofunctional Therapy)は、早いここ様では3歳頃から。マイオブレースなどのマウスピース型筋機能矯正装置を使うのは4歳頃からと推奨されています。
・お口がぽっかり空いている
・いつも食べ方や咬み方に変な癖がついている
と思いましたらお気軽にご予約にてご相談下さい。矯正治療を行うべきかの判断にもなります。小さな年齢の場合、ご家庭で出来る簡単なMFTによる改善で良い方向に向かうこともあります。かかりつけの歯科医を持ち、お子さまの正しい咬合誘導・咬合育成を一緒に行っていきましょう。
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保護者様との相談
歯列矯正治療に関するヒヤリング、概要のご説明を致します。また、専門医との連携が必要かどうかの選別を行います。
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歯列矯正精密検査
レントゲン写真や歯の型取りなどの、矯正治療に必要な精密検査を行います。(矯正日でなくても構いません)
精密検査・診断費用 / 3.3万円(税込)
(矯正治療を行わなかった場合でもご返金は出来かねます) -
診断と治療計画の説明
検査データを分析し治療内容、治療期間、治療費、治療目標(ゴール)、治療にあたっての注意事項などを詳しくご説明致します。
(検査とは別日、保護者様のみのご来院でも構いません) -
準備期間
矯正装置を始める前に必要な虫歯や歯肉炎治療、装置作製のための型取りを行います。
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矯正スタート
装置をつけて歯を動かし始めます。 Ⅰ 期治療基本料金 / 44万円 (税込)
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調整管理
開始後は約1ヶ月に1度程度通院して頂き調整を行います。
(お子様の状況によって多少変わります)
また矯正期間中は歯磨きが難しくなるため、磨き方や新たに虫歯が出来ないよう、クリーニングやフッ素塗布を行います。 -
矯正期間終了/保定期間
矯正治療が終わった後、歯並び・咬み合せをしっかりと定着させ保定期間にリテーナー(取り外し式の装置)を使って頂くこともあります。
全ての永久歯に生え変わり、骨格的な成長がある程度完了するのを待ち、定期的に虫歯や歯肉炎のチェックなどを行いながらⅡ期治療を開始するかどうかの検討を行います。
小児矯正の費用について
小児矯正は追加費用の掛からない「トータルフィー・システム」を採用しております。
小児矯正では適切な時期での早期治療介入が望ましいですが、スタートが早ければ早い程ランニングコストがかかるのでは本末転倒です。当院ではコスト面での不安や負担を可能な限り軽減するため「トータルフィーシステム」を採用しております。これにより全ての治療が終了するまでの費用が明確化し、安心して治療を受ける事が出来ます。毎月の診察ごとの調整料や装置変更による追加料金、装置の除去やリテーナーなども基本料金に含まれます。
※トータルフィー・システムやその他の矯正歯科治療の費用のお支払いは現金の他に、クレジットカード、デンタルローン、各種電子マネーが可能です。
Y.ODA