審美治療
昨今、「審美治療」という言葉をよく耳にします。歯科界においてはこの表現は正式な定義のあるものではなく、要するに審美ということを最優先させて治療することなどを示していると思われます。健康保険制度の問題もあり、日本では欧米(特にアメリカ)に比べ見た目に金属の修復が多く確かに審美的とは言えないのが実情です。また欧米では歯並びが悪ければ子供のときに矯正してしまいますが、日本ではその辺りも遅れており大人になったときの前歯の歯並びの悪さが審美を損ねている方も多いと思われます。人に与える印象としてスマイルが美しいことはとても大切なことであり、特に現代においては社会生活上重要なことであります。しかし、ここで問題となるのは機能(食べる・話す)を無視して見た目だけを取り繕うとする治療であります。
例えば歯を支える歯周病やかみ合わせの崩壊に対する処置をしないまま被せ物だけを治療したり、本来矯正をすべきなのにその説明もせずに被せ物だけで見た目を作ったりして、しかも根の中の治療はグチャグチャというのでは困ります。
まず、きちんと食事が出来る・話すことが出来る・治療が長持ちするという条件がクリアーされて初めて審美性を追及していくというのが本筋であると考えております。またその審美性も一時しのぎではなく、長く良い状態を保つためには患者さまも我々もそれ相応の努力も必要となるのです。
トレンドのように「審美治療」という言葉が飛び交っておりますが歯科の一つの分野であり美容とは違いますので、そのあたりは勘違いしないようにしたいものです。
Y.ODA