医院開業から今日まで、様々な最新の技術を取り入れながら現在も変化し続けておりますが「本当に患者さまにとって有益な治療法」とは何か?をここ数年よく考えさせられます。せっかく縁あって御来院された患者さまに対して、我々が提供すべきことは何なのかを追求していくと、絶対的にな正解は無いように感じます。最新の治療法などと言うものが万人に有益であるはずもなく、最新であるが故に時間が経った時にどうなるのかが未知であることも事実です。
おだ歯科クリニックの診療姿勢
歯科治療の普遍的本質を旨とする
我々は歯科医療のプロフェッショナルですから、現状の病態を詳細に分析し、歯科医療的に本来どの様な治療が適切なのかを導き出す事は十分可能です。しかしながら、現実的には「何でもあり」という訳にはいかずに、患者さまそれぞれの生活上のバックグラウンド(育児中だったり引っ越す可能性がある等)、時間や経済的な制約、治療後に求める結果などに大きく左右されます。
私は開業前の修行時代、幸い環境にも恵まれ日本でも有数の技術力の高い職場で充実した日々を過ごす事が出来ました。当時得た知識・技術は、雨後の竹の子のように次々と現れる歯科メーカー主導の最新手法に惑わされるような表面的なものでなく、歯科医療の本質や病態を読み説く普遍的なものでありました。手間暇かけた治療はもちろん時間、回数、費用的な面で患者さまの負担が増す事は確かですが、その様な工程で行われた治療の10年20年後がどの様な状況になるのかを当時の院長先生の症例を通じて知る事も出来ました。
やはり適切に診断され、惜しみ無い技術を投入されて行われた治療は圧倒的に長持ちしますし患者さま自身の満足度も高いです。近年の進歩した歯科材料や素材に頼るだけではなく、設計や1つ1つの治療ステップを確実に行えば(これが本当に難しいのですが)大きな問題は発生しにくい事は明白です。
「我々が理想とする治療」と「患者さまの求める治療」
しかし、前述のような「我々が理想とする治療」と「患者さまの求める治療」とは大きなズレが生ずる事もしばしばございます。こればかりはどうしようもありません。誰もが日々の生活があり、時間とお金を全て歯科治療に費やす事など出来ませんから擦り合わせが必要です。
特に虫歯治療(詰める・被せる)などは治療方法によってその先の歯の寿命に大きく関わってくる部分ですから少なくとも何が違うのかを知り、プロの意見を聞いた上で治療方法を決定すべきです。技術力はなかなか患者さまには分かりづらい部分ではありますが、2ndオピニオン・3rdオピニオンなどを他のクリニックで聞いてみるくらいの事はしても良いと思います。
そのくらい慎重になって良い程に、1回の治療で歯に与える影響(ダメージ)は大きいものです。歯科医が「治療」と称して歯牙を切削する行為は歯にとってマイナス以外の何ものでもないですから、「治療する前」の段階での話し合いが最も大切だと考えています。
無駄な治療を「しない」選択も
あえて言うなら無駄な治療を「しない」事もまた大切であり、高品質な治療をしないのであれば「何もしない」ことが将来につながる事も十分あり得るという事です。
おだ歯科クリニックが出来る事は、これから先いかにして治療介入を減らし良好にメンテナンスへ移行あるいは継続するか、さらには再介入が必要になった場合にどの様な一手が打てるのか、などを専門的な観点から提示する事に尽きます。当院ではほとんどのケースで患者さまにヒアリングした上で専門的な観点から治療についていくつかのプランを御提案させて頂いております。
本来「安くて早くてキレイで長持ち」する事が理想ではありますが、現実的には不可能な訳ですから患者さまの優先項目がどこにあるかをお伺いしないままでは御提案することも出来ません。
同じ様に大切であると考えておりますので遠慮なく御自身の希望をお伝え頂き、それらを踏まえた上で本格的な治療スタートとする事をお勧め致します。
医療法人社団雄清会おだ歯科クリニック
理事長 小田雄太郎
Y.ODA